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エビデンスのある入浴法【自律神経を整える】

この記事では自律神経を整えるための効果的な入浴法を紹介します。

入浴は単なるリラックスの手段ではなく、バランスを保つ重要な役割を果たします。正しい方法を知ることで、心身のバランスを整え、日常のストレスを和らげることができます。

自律神経のバランスを整える入浴法

自律神経の乱れが気になる方にはお風呂の入り方を工夫してみましょう。

自律神経を整える(1)

湯舟に入浴:理想 38~40℃ 15分(エビデンスあり)

自律神経を整えるために湯舟に入ることが効果的で、適切な温度と時間での入浴が大切です。

湯温の理想的な温度は38~40℃で、時間は15分程度が推奨です(他に10~15分、15~20分が良いという研究結果もあり、やや個人差があります)。温度は、体温より少し高めがリラックス効果をもたらし、副交感神経が優位になることが研究で示されています。

副交感神経が優位になると、心拍数が落ち着き、血圧が安定し、心身ともにリラックスした状態に導かれます。これにより、ストレスの軽減や睡眠の質の向上が期待できるのです。また、長時間の入浴は、逆に体に負担をかけ、疲労感が増す可能性があります。

自律神経を整える入浴(2)

熱い湯舟は交感神経を刺激(エビデンスあり)

熱い湯舟に入ることが交感神経を刺激するという研究結果があります。

交感神経は、私たちの体がストレスや緊急事態に対処するときに活性化される神経系の一部であり、心拍数や血圧の上昇、エネルギーの放出などを促します。熱い湯舟に入ると体温が急激に上昇し、それに伴い体は熱を放散しようとします。

このプロセスは交感神経を刺激し、覚醒状態を引き起こします。ある研究では、40℃を超えた湯に入浴した被験者の心拍数が顕著に増加し、交感神経活動が活発になったことが確認されています。これは、日中の活力を高めたい場合や、眠気を払拭したいときに利用できる方法ですが、逆にリラックスや安眠を求める際には、注意が必要です。

交感神経が刺激されすぎると、リラックス効果を得られず、ストレスが増す可能性があります。したがって、入浴の目的に応じて湯の温度を調整し、適切に交感神経と副交感神経のバランスを保つことが重要です。

自律神経を整える入浴(3)

シャワーの温度は37~39℃(エビデンスあり)

湯舟の合間にシャワーを浴びる際の温度設定は、入浴の効果を最大化するために重要な要素の一つです。研究によると、シャワーの温度は37~39℃が理想的とされています。この温度は、体温に近いため心地よく感じられ、入浴中にリラックスした状態を維持しやすいとされています。特に交感神経の過度な刺激を避けて、自律神経を整える効果が期待できます。

シャワーの温度が42℃以上の温度では、交感神経が優位になり、リラックスするどころか逆にストレスを感じさせることもあるとされています。

また、シャワーは短時間にしておき、体を乾燥させないようにすることが推奨されます。長い時間のシャワーは皮脂を落とし過ぎて乾燥やかゆみの原因となり、保湿成分を含む入浴剤などを使った場合に効果も打ち消してしまうこともあります。したがって、シャワーは適温で短時間にしておくことが理想的です。これにより、心身ともにリフレッシュできる効果的な入浴が可能となります。

自律神経を整える入浴(4)

湯舟に入る時間帯は?(エビデンスあり)

湯舟に入る時間帯について、科学的な観点から最適なタイミングを探る研究がされています。一般的に、夜間、特に就寝の1〜2時間前に入浴することが推奨されています。入浴によって体温が上昇し、その後の体温の低下が自然な眠りを誘発するため、質の良い睡眠が得られるという効果があります。これは、体温のリズムが睡眠と密接に関連していることからも支持されています。

また、入浴は血行促進によるリラクゼーションと疲労回復の効果があり、「1日の終わり」に心身をリセットするのに最適であるとも言われています。

一方、朝の入浴は目覚めを助ける効果があり、交感神経が活発になるため、目的によって使い分けるのが良いでしょう。実際の生活リズムに合わせた入浴時間の選択が心身の健康に寄与します。したがってリラックスと睡眠の質向上を目指すなら、湯舟に入る時間帯は夜間が最適と考えられます。

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筆者の体験:ここだけの話

※真似はなさらないでください

熱めの湯舟(41℃)、30分間、入ってみました。

前後に「カルテコ」で自律神経を計測。

入浴前  

トータルパワー(元気度):19

30分間 入浴後 

トータルパワー(元気度):9

元気が下がっている、、、

熱い湯、長い湯で疲労してました 汗

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浴槽内スマホ絶ち

筆者のおススメは「浴槽内スマホ絶ち」入浴中に限ったエビデンスはまだありませんが、スマホのブルーライトやデジタル刺激が交感神経を優位にすることは立証されています。浴槽の中でスマホを使ってしまうと、せっかくのリラックス効果がもったいないことになるでしょう。毎日ではなくてもいいので、浴槽内マッサージや読書などに置きかえてみましょう。

入浴剤の選び方について

自律神経を整える入浴(5)

アロマ成分

入浴剤に含まれるアロマ成分は自律神経のバランスを整えるのに効果的とされています(小規模な検証では効果が出ている。大規模な検証はされていない)。特にラベンダー、イランイラン、カモミールの精油を含む入浴剤は、リラックス効果やストレスの軽減を促進します

これらの香りは入浴中に蒸気と共に立ち上り、嗅覚を通して脳に作用し、心身のリラクゼーションをもたらします。香りの良い入浴剤を選ぶことで、安心して効果を享受でき、日々の入浴が自律神経を整える時間となります。

自律神経を整える入浴⑥ 

炭酸ガス

炭酸ガスを含む入浴剤はまだ研究数が少ないものの、自律神経のバランスを整える効果が科学的に認められてきています

炭酸ガスが水に溶けることで生じる炭酸イオンが、皮膚を通じて体内に浸透し、血管を拡張することで血流を促進します。結果として、心身のリラックス効果が高まり、自律神経のバランスが整えられやすくなるのです。

いくつかの研究では炭酸ガス浴が血圧や唾液αアミラーゼ活性(交感神経の活動)を低下させる効果が示されています。これにより、日常のストレスや疲労の蓄積を軽減し、睡眠の質を向上させる助けにもなります。

その他

注意すること、やるべきこと(エビデンスあり)

入浴は心身のリラックス効果を高める重要な習慣ですが、いくつかの注意点を守ることで、より健康的で効果的な入浴が可能になります。

まず、入浴の前後には十分な水分補給が不可欠です。入浴中は体温が上昇し、発汗によって体内の水分が失われます。これにより脱水症状を引き起こすリスクが高まるため、入浴前後に水やスポーツドリンクを摂取することが推奨されています。

長時間の入浴は皮膚の自然な保湿バリアを破壊し、乾燥やかゆみの原因になることがあります。特に冬場は湿度が低くなるため、入浴時間を短くし保湿クリームを使用することで肌の健康を守ることができます

最後に、入浴後のストレッチや軽い運動は、血流を促進し、筋肉の緊張を和らげるいいタイミングです。これにより、入浴のリラックス効果をさらに高めることができるでしょう。これらのポイントを意識することで、入浴の時間をより健康的で有意義なものにすることが可能です。

★高齢の方や持病のある方

高齢者や心臓に持病のある方は急激な温度変化を避けるため、入浴前に脱衣所を暖かくし、浴室内外の温度差を少なくする工夫が必要です。これによりヒートショックのリスクを軽減できます。入浴について不安があったり、入浴中に気分が悪くなった場合は、すぐに浴槽から出て安静にし、必要であれば医療機関を受診することをお勧めします。

★自律神経:必要に応じて専門機関へ相談を

自律神経の乱れが続くと、日常生活に支障をきたすことがあります。例えば、慢性的な疲労感や不眠、頭痛、めまいなどの症状が現れることがあります。これらの症状が長時間にわたって続く場合や、セルフケアを試みても改善が見られない場合には、専門機関への相談を検討しましょう。専門機関では、医師や心理カウンセラーが個々の状況に応じた治療やアドバイスを提供してくれます。自律神経の問題は、ストレスや生活習慣の影響を大きく受けるため、適切なサポートを受けることで、心身の健康を取り戻す手助けとなります。

まとめ

自律神経のバランスを整えるための入浴法について理解が深まったでしょうか。適切な温度や時間、さらには入浴剤の選び方が日常生活におけるストレス軽減に役立つことがわかります。日々の疲れを湯舟で癒し、心身のリフレッシュを図りましょう。これを機会に、あなた自身のライフスタイルに合った入浴習慣を見つけてください。また、入浴を通じて得られる効果を最大限に活用するために、他のストレス管理方法とも組み合わせてみることをお勧めします。もし不安や疑問がある場合は、無理をせず専門家に相談することも大切です。さあ、今晩は早速、リラックスできる入浴を試してみてください。

2025年5月14日

メディカル・データ・ビジョン株式会社

自律神経を計測できるアプリ「カルテコ」 運用企画部 平井真司