
今日から習慣化しやすくなる3つのステップ
「ダイエットのために運動を始めたい」「健康のために身体を動かしたい」。
そう思っても、三日坊主になってしまう人は多いものです。
ジムに通ってる人やランニングをしている人の話を聞けば、「そりゃやったほうがいい」と思えるが、ソファから立ち上がる腰が重いこと、重いこと。
ダイエットをしている番組を視聴して「やってみよう」と思うのに、翌朝になるとその情熱は見当たらない。
目が覚めて最初に浮かぶのは、運動ではなく 「今日はなんか寒いし…」 の誰かに伝えるべくもない一言。
気がつけば、ジャージに着替えるどころか、ソファに寝転んだまま“運動系YouTuber”の動画だけを再生し、まるで自分まで痩せたような気分になっている。
いよいよ我に返って、「いや、見てるだけでカロリー消費できるなら日本中みんな細いわ」と自分で自分にツッコミを入れる始末。
ただ、このような不甲斐ない行動や思考はあなたやわたしの性格のせいではありません。
行動科学の分野では、運動やストレッチが続かない背景には、“脳が変化を負担として感じる”という人間の自然な性質があると説明されています。
つまり身体と脳は、急な変化よりも「今のまま」を保とうとする性質があるんです。
続かない理由は人間の自然な性質のせいなのです。
「く、くっそー。じゃあ無理か」と性質に心をゆだねる前に、すこし文章を読んでいただければと思います。
この性質を理解して、やり方(方法)を少し変えるだけで、続けやすくなります。ここでは、毎日トレーニングするのが苦手な人でも自宅で始めやすい3つのステップを紹介します。
なぜ運動は続かないのか —— 原因は「性格」ではなく「仕組み」
やる気は続かない(行動科学からの示唆)
心理学や行動科学では、モチベーションに依存した行動は続きにくいとされています。
わたしたちの身体と脳は、急な変化よりも「今のまま」を保とうとする性質があるためです。
そのため、運動やストレッチを始めるときは「やる気」よりも、ハードルを下げることが大切になります。
完璧主義が三日坊主をつくりやすい
「毎日30分のジム通い」「姿勢を整えるために本格的なメニューをやる」など、理想を高く設定すると、少しうまくいかないだけで続けにくくなります。
行動科学では、小さく始めて、できた回数を積み重ねるほうが習慣化に向いているとされています。
たとえば行動科学では、
・歯みがきの後に腕立て伏せを少しだけやる
・椅子に座った瞬間に背筋を伸ばす
・朝起きたら深呼吸をする
といった “小さい行動” が習慣化を促す例としてよく紹介されています。
このように「小さな成功」を積み重ねることで、行動が生活の中に定着しやすくなります。
脳は「変化」を避けようとすることがある
脳は習慣にない行動を行う際、負荷として感じることがあります。
仕事終わりに「これから運動しよう」と思っても身体が重く感じられるのは、この性質によるものだと考えられています。
だからこそ、生活に無理なく入り込む“小さな行動”から始めることが大切です。
ステップ① ハードルを下げる —— “苦手”でも始められる環境づくり
自宅でできるメニューは続けやすい
自宅で1〜2分のストレッチから始めると、着替えや移動の負担が少ないため、取り入れやすくなります。
これは「能力(やりやすさ)」を整えることで、行動の成功率を上げるという行動科学の基本原則とも一致します。
「かんたんな動作だけ」でも十分なスタート
ストレッチや肩まわし、腰まわりのほぐし。
こうした“とても小さな行動”でも、習慣化の初期には十分です。
大切なのは、今日も続けられたという感覚を積み重ねることです。
ステップ② 行動を小さく区切る —— 習慣化の科学に基づいた方法
10分まとめてより「2分×数回」がやりやすい場合もある
毎日10分が難しい場合でも、2分だけなら続けられるという人は多いものです。
行動科学では、行動を小さく分割することで成功率が上がるとされています。
特に疲労を感じる日や忙しい日は、「1動作だけトレ」で十分です。
“生活の中に組み込む行動”が続きやすい
ジム通いそのものは良い習慣ですが、移動というハードルがあります。
一方、生活動作にセット化する方法は、定着しやすいという報告もあります。
例:
- 歯磨き後に肩ストレッチを30秒
- アプリを開いたら姿勢リセット1分
- 帰宅後に腰・肩まわりを軽く動かす
日常の“トリガー(きっかけ)”とセットにすることで、行動が自然と続きやすくなります。
ステップ③ 小さな“報酬”をつくる —— 変化を意識する
ストレッチ後の「軽さ」など、小さな感覚を大切にする
ストレッチ後に「肩が軽い気がする」「体が温まってきた」など、変化を感じる人もいます。
こうした小さな実感を“報酬”として意識することで、行動が続きやすくなります。
ここで重要なのは、大きな効果を期待しすぎないことです。
小さな変化を積み重ねることが、習慣の定着につながります。
記録して“見える化”すると継続率が高まりやすい
日々の行動をアプリやカレンダーに書き留めると、「続いている実感」が得られて取り組みやすくなる
と紹介されることがあります。
行動科学の分野でも、行動を記録する習慣は、行動の振り返りにつながりやすいとされており、特別なシステムは不要です。
自分が負担なく続けられる方法で十分です。
「最初の7日だけ」やってみる —— 三日坊主対策として有効
習慣化が苦手な人ほど、期間を短く区切る方法が向いています。
「まずは7日間だけ」と決めると心理的負担が減り、行動が起こりやすくなります。
例:
- 1日目:肩ストレッチ
- 2日目:姿勢リセット
- 3日目:腰まわりの軽い運動
- 4日目:自宅でできる体操
こうした“メニュー”は、身体への負担も少なく、無理なく毎日の流れに取り入れやすい方法です。
まとめ —— 続かないのはあなたのせいではなく、仕組みの問題
運動が苦手でも、忙しい日が続いても、始めることはできます。
行動科学では、
- ハードルを下げる
- 行動を小さく分ける
- 報酬(小さな変化)を意識する
この3つが習慣化の基本とされています。
習慣は「意志」よりも「設計」。
今日の1分が、これからの自分のコンディションを支える一歩になります。
参考・出典
- BJ Fogg, PhD. “Fogg Behavior Model (B=MAP)”
行動は「動機(Motivation)」「能力(Ability)」「きっかけ(Prompt)」の3つが同時に揃ったときに起こると説明した行動科学モデル。行動を起こすためには「やりやすさ」を高めることが特に重要とされる。 - BJ Fogg, “Tiny Habits: The Small Changes That Change Everything”(2019)
極めて小さな行動(Tiny Habits)を日常に組み込み、習慣化を促す方法を解説した書籍。大きな目標よりも“1回だけ・数十秒だけ”の行動を積み重ねる重要性が述べられている。 - World Health Organization(WHO). “WHO Guidelines on physical activity and sedentary behaviour”
WHOは、2020年の身体活動ガイドラインで「まったく活動しないより、少しでも身体を動かすほうが良い(Some physical activity is better than none)」
と明確に示しています。つまり、日常の中で“できる範囲の身体活動を増やす”ことが健康づくりに役立つとされています。 - 厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」および「健康づくりのための身体活動ガイド2023」
日常生活の中で無理なく続けられる身体活動から始めることを基本とし、個人の状況に応じて運動量や強度を調整することを推奨。身体活動は“少しでも増やすこと”が重要とされている。 - U.S. Department of Health and Human Services. “Physical Activity Guidelines for Americans”
成人に対して、週150分以上の中等度の身体活動、または高強度の身体活動を推奨しつつ、日常生活での軽い身体活動も長期的な健康に寄与する可能性があると示したガイドライン。