
更年期のさまざまな体調の変化(不調)に対して、運動はコンディション維持や気分のリフレッシュに効果が期待できる場合があります(個人差があります)。本記事では、軽〜中等度でできる有酸素運動・筋トレ・ヨガ/ピラティス・チェアエクササイズの一例と、継続のためのコツ、対策・予防の考え方、安全上の注意をまとめます。まずは「がんばらない」から始めましょう。
更年期に運動が必要な理由(コンディション維持と日常の対策)
エストロゲンと“ゆらぎ”の関係(やさしい解説)
エストロゲンは、思春期に分泌が増え、20〜30代で比較的高い状態を保ち、その後は年齢とともに変化していくホルモンです。肌のうるおい、骨代謝、月経周期の調整、自律神経の安定などに関わります。更年期には分泌量の変動が大きくなり、ほてり(ホットフラッシュ)・不眠・めまい・動悸・むくみ・頭痛・のぼせ・疲れやすさ・息切れなどの体調不良が生じやすくなります。
運動が助けになりうるポイント
- 軽〜中等度の運動は、血行や体温のリズムを整えるうえで役立つことが知られています。
- 無理のない範囲で体を動かすことで、日中の過ごしやすさを感じやすくなる方もいます(個人差があります)。
- 朝は明るい光を浴びながら、短時間の軽い活動(散歩やストレッチなど)を取り入れると、生活のリズムづくりの一助になります。
骨粗しょう症への配慮
骨は破骨細胞による「壊す」と骨芽細胞による「作る」を繰り返すリモデリングを常に行っています。更年期以降は骨密度低下が進みやすいため、体重負荷のかかる活動(ウォーキング・階段昇降など)を、無理のない範囲で日常に取り入れることが予防の基本です。汗をかくほどでなくてもOK。
おすすめメニューの一例(有酸素/筋トレ/ヨガ・ピラティス/チェア)
① 有酸素運動(ウォーキング・サイクリング・室内踏み台)
- 頻度目安:週単位の合計時間を少しずつ増やす/毎日短時間の実践も可
- 時間の考え方:1回の長さにこだわらず、短時間×複数回の累積でも効果的(例:10分を数回)。
- 強度目安:会話できる程度(トークテスト)。息を止めず、ややラク〜ふつう。激しい痛みや強い息切れは中止。
- 屋内の代替:安定した10〜20cm程度の踏み台での昇降も一例。足元と周囲の安全を優先。
- インターバル歩行:「速歩」と「ゆっくり」を交互に。3分/3分など複数パターンが紹介されています(体調で調整)。
- ダイエット目的でも、まずは継続最優先。エネルギー不足にならない食事も併用。
② 筋トレ(下半身中心/やさしく)
- 頻度目安:週2〜3日(非連続日)
- テンポ:反動を使わず、1動作2〜4秒でコントロール。フォーム優先。
- 種目例と回数:
- スクワット:8〜12回 × 1〜3セット(イスの立ち座りの感覚)。
- かかと上げ:10〜20回 × 1〜3セット(壁やイスで支え)。
- ヒップリフト:8〜12回 × 1〜3セット(仰向けで骨盤をゆっくり)。
- 壁プッシュ:8〜12回 × 1〜3セット(腕立てのやさしい代替)。
③ ヨガ・ピラティス(呼吸でリラックスを“促す”)
- 位置づけ:リラックスと体幹安定など。どちらも呼吸を重視。
- 時間:1回20〜60分が望ましいとする資料が多い一方、5〜15分の短時間も“きっかけづくり”として可。合計時間を徐々に延ばす。
- 呼吸:ゆっくり吸う/ゆっくり吐く(吐く方を長く)。無理のない範囲。
- 教室・動画:近隣の教室や公式動画を活用してフォーム確認(男性も歓迎のクラス多数)。
④ チェアエクササイズ(イスで短時間)
安定した椅子・滑りにくい足元・背もたれの活用など環境を整えて実施してください。
- 膝上げ:左右各5〜10回の目安
- 肩回し:前後各10回の目安
- 足首回し:左右各5〜20回の幅で調整
- 背伸び(静的ストレッチ):20〜30秒 × 1〜3回
つづける習慣の工夫(“ごきげん”優先)
- 行動のきっかけ:玄関にスニーカー、カレンダーにチェック等。思い出しやすさが上がり継続に寄与。
- 生活動線で歩数:通勤や買い物でひと駅ぶん歩くなど、毎日“ちょい足し”。
- “今日は短時間だけ”でOK:つらい日は無理しない。
- メンタルのケア:過度な目標はうつ的な気分や「疲れるだけ」の悪循環を招きやすい。小さく始めて改善を体感。
無理なく始める7日トライアル
Day1:ゆる散歩(無理のないペース)
- 背筋を伸ばし、視線はやや前。腕は自然にスイング。のんびり歩いて体をほぐしましょう。
外出が難しい日は、段差を使った軽めの昇降運動など、自分の体調に合った軽い有酸素活動に置き換えても構いません。
Day2:チェア+呼吸
- イスに浅く腰かけ、足裏を床へ。膝上げは左右各5〜10回。
- 肩回しは前後各10回。呼吸は吸う3〜4秒/吐く6〜8秒。
Day3:スクワット+かかと上げ
- スクワット:8〜12回 × 1〜3セット目安(イスの立ち座りの感覚)。
- かかと上げ:5〜15回程度を目安に、体調に合わせて調整。
- テンポは2〜4秒を目安にコントロールし、息を止めずに行いましょう(バルサルバ回避)。
Day4:ヨガ(キャット&カウ/チャイルド)
- 合計数分〜10分は一例。呼吸が乱れない範囲で、改善を観察。
Day5:インターバルウォーキング
- 速歩とゆっくりを交互に。3分/3分など複数パターン。体調により時間調整。
Day6:休む日(軽いストレッチなど)
- 背伸び:20〜30秒 × 1〜3回など。眠気・痛み・動悸・強い息切れがある日は完全休養も可。
Day7:好きな組み合わせで“短時間を積み上げ”
- 例:ヨガ+散歩、スクワット+ストレッチなど運動の時間を積み上げる。翌週以降は時間または週合計を少し上積み。
よくある質問(何から?)
Q. 運動がつらい。何から始めれば?
A. 10分のウォーキングなど短時間から。息を止めず、会話できる程度の有酸素強度が目安。慣れたら回数を増やして日内合計で積み上げましょう。
Q. 高血圧でも大丈夫?
A. 可能な場合があります。激しいいきみや息切れを感じる手前で、有酸素とやさしい筋トレを。治療中の方は主治医と相談し、強度・頻度を個別調整。
Q. 体調が悪い日は?
A. 休んでOK。呼吸法や軽いストレッチは休息の補助。ほてり・ホットフラッシュ・めまい・動悸などの不調が続く場合は受診。
参考情報(公的・専門/一部)
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド(2023)」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット(睡眠・身体活動・更年期の基礎情報)
- 健康長寿ネット「インターバルウォーキング」ほか
- 日本骨粗鬆症学会(骨の健康に関する一般情報)
- 国立健康・栄養研究所(栄養・身体活動の基礎情報)
※各セクションの具体例・目安は主に公的資料・医療機関の解説に基づき、断定を避けて記述しています。
※運動動画の視聴や教室の活用はフォーム習得に有用ですが、痛みが出る動作はできないと判断し中止してください。